【放送日時】 平成30年1月3日(水)18:00〜18:55
【出 演 者】 濱田亜弥、高山真貴(ほっとこうち)
【提 供 社】 ほっとこうち、高知ケーブルテレビ
2009年から7年余りにわたって放送してきた『プライム・トーク』の新春特別番組第2弾!今回はこれまで番組に出演していただいた195名のゲストの中から、愛する故郷で起業し、地域の活性化、地域雇用の創出に尽力している3人のニューリーダーに集まっていただき、地域の“いま”と“これから”について座談会形式で熱く語っていただきました。
ゲストは仁淀川町から、茶農家の株式会社「ビバ沢渡」代表取締役、岸本憲明さん!
大工として働いていた頃、祖父母が暮らす仁淀川町沢渡地区で過疎・高齢化のため、お茶の栽培や秋葉祭りの継続が難しくなっていると聞き、仁淀川町へ移住!祖父の茶畑を引き継いで特産の沢渡茶を生産するほか、加工商品の企画販売も手掛け、大好きな仁淀川町に雇用の場を増やそうと奮闘しています。また2018年3月17日にはお茶のスイーツや地元料理を提供するカフェ「茶農家の店 あすなろ」をオープン予定。地域の活性化を図ると共に、町外からの誘客にも力を入れていきます。
2人目は室戸市から「土佐備長炭窯元 炭玄」代表、黒岩辰徳さん!
地質調査会社を経て地元・室戸市の海洋深層水加工会社へ。その後「室戸の若者が働ける場をつくりたい!」との思いから地場産業である土佐備長炭づくりを学び、2007年に「炭玄」を設立!多くの仲間とともに、伝統の土佐備長炭づくりに取り組んでいます。また2016年5月には高知市追手筋に室戸の新鮮な魚を提供する「路傍酒場 玄〜kuro〜」を、2017年9月には室戸市に「吉良川魚処 玄〜kuro〜」をオープンし、地域の雇用創出を図ると共に、室戸の素晴らしさを広く伝えています。
3人目は土佐清水市から「ウェルカムジョン万カンパニー」代表取締役、田中慎太郎さん!
家業を手伝いながらボランティア団体「ウェルカムジョン万の会」の活動に従事。2010年に宗田節を使った商品《だしが良くでる宗田節》を販売する「ウェルカムジョン万カンパニー」を設立して代表に就任し、宗田節を使った商品のほか、ジョン万次郎グッズなどの販売を手がけています。また地元・土佐清水青年会議所の会長としても活躍。飲食店「土佐清水ワールド」を手がける「株式会社ワールド・ワン」と提携して、土佐清水市の“食の魅力”を全国に発信する活動も行なっています。
【 地域の“いま” 】
高知県をはじめ日本全体が抱える課題といえるのが「少子高齢化」です。農業・漁業・林業など、地域を支える一次産業の後継者がいないと言われますが実際のところはどうなんでしょうか?
● 黒岩さん
土佐備長炭づくりは室戸市の伝統産業ですが、自分が修業に入った今から12年前には炭焼職人の高齢化が進みつつありました。当時自分は20歳代でしたが次に若かったのが50歳代の方。中堅となる30歳代、40歳代の年齢層がぽっかりと空いていたんです。その後、2年間の修業を終えて27歳で独立すると「自分も炭焼に挑戦してみたい」と訪ねてくる若者が増えてきました。そんな若者たちを何とか雇用できないかと、事業規模を大きくしたり、事業の一部を少し変えてみたりと知恵をしぼって、これまでに全部で11人を雇用!今ではそのうち5人が独立して「炭玄」の近くに窯を構えています。同じ志を持った仲間が増えるのは嬉しいですね。
─ 黒岩さんの活動が実を結び、2014年には高知県が《備長炭生産量全国一》に!前年までの和歌山県を抜いて51年ぶりに全国一となりました。「愛する地元・室戸市に若者が働ける場をつくりたい」と願った黒岩さんの一途な思いが、伝統産業である土佐備長炭づくりの技術継承を守り、生産量全国一奪還の原動力になったのです。
● 田中さん
漁師町である土佐清水市でも後継者不足などから漁業従事者が減っています。それによってメジカの漁獲量も減少して宗田節の生産量も減少傾向に。しかしそんな中、平成29年度からは5カ年計画の「土佐清水メジカ産業再生プロジェクト」がスタートしました。新たな拠点施設に2,000トン級の大規模な冷凍保管庫を整備し、メジカの安定確保を図るなどの取り組みが始まっています。こうした支援をいただく一方で、自分たちに出来ることとして、宗田節のメニューを味わえる飲食店めぐり「宗田節ロードスタンプラリー」の取り組みを開始しました。歴史ある土佐清水市の節産業にもっと興味を持ってもらいたいですね。
─ 近年低迷していた土佐清水市の節産業ですが、2013年を最後に4年連続で中止となっていた宗田節の産地入札即売会が2018年春に再開されることが決定!また飲食店「土佐清水ワールド」との提携もあって、いま清水の食材が大きな注目を集めています。田中さんたちの活動によって土佐清水市の地場産業が再び脚光を浴び、地域雇用の創出に繋がることを願っています。
● 岸本さん
仁淀川町で専業茶農家になって7年になりますが自分が感じるのは「後継者不足」という表現とは少し違うもの。お茶の栽培を引き継ぎたいという若者はいるのですがそこには「生活が出来るのであれば」という注釈が付きます。やはり専業茶農家として収入を確保するのは並大抵のことではないのです。そんなこともあって自分は茶農家として十分に生活できるように、生産したお茶の販路を開拓したり、沢渡茶の周知PRに力を入れてきました。そんな姿を見て、自分と一緒に働きたいと田野町から移住してきて今一緒にやっているスタッフがいます。地域の仕事には、産業としての魅力はもちろん、一緒に仕事をする人の魅力も必要ではないでしょうか?
─ “高知一の茶どころ”として知られる仁淀川町では茶農家の高齢化が顕著で、耕作放棄地が増えているそうです。そんな中、沢渡茶のブランド化を推し進め、沢渡茶を使った加工商品を製造・販売してきた岸本さんの姿に憧れを抱いている若者は多いと思います。産業としての魅力だけでなく、一緒に仕事をする人の魅力も必要では?という意見には大きく頷かされますね。
【 地域の“これから” 】
皆さんが実践されているのが“地域の宝”とも言うべき、その土地の特産品を使って地域の魅力を広く発信し、またそれを地域雇用の創出にも活かすこと。それぞれの活動の中で少しずつ明るい話題も出てきたそうですね?
● 田中さん
飲食店「土佐清水ワールド」「幡多バル」を全国展開している「株式会社ワールド・ワン」さんとの連携によって、食材を発送している地元業者にたくさんの良い効果が出ています。売上が増えるという“収入面”の効果だけでなく、自分が取り扱っている食材で全国の方が喜んでくれているという“仕事のやり甲斐”という効果、これは本当に大きいです!また「ワールド・ワン」さんは「他にこんな食材はないか?」と要求も出してくれますし、「清水の食材はワールド・ワンだけでなく、他にも繋いでいかないといけない。折角いいものが多いんだから」とも言ってくれます。この連携を機に、土佐清水市で起業してみようと思う若者が出てきてくれると嬉しいですね。
─ 土佐清水市と「ワールド・ワン」との出会いは2012年。青年会議所の繋がりから「ワールド・ワン」の河野社長をはじめとする方々が土佐清水市を訪れたことに遡ります。地元食材の美味しさに触れたことはもちろんですが、土佐清水市のことを熱く語る地元の方々の“若いピュアな気持ち”が強く印象に残り、既存店舗での「土佐清水フェア」開催→大成功→絆の強化→「土佐清水ワールド」開店へと繋がったんだとか。どんなビジネスも人と人との信頼関係なんですね。
● 岸本さん
実は茶農家を始めた頃から「沢渡地区の美しい風景を多くの方に見てもらいたい」という思いがありました。そのために、これまで沢渡茶をPRし、「茶大福」や「ゼリー」「パンナコッタ」など加工商品もつくってきましたが、そんなお茶のスイーツや地元食材を使った料理を召し上がっていただける飲食店「茶農家の店あすなろ」を2018年3月17日にオープンします!国道33号沿いの旧ドライブイン跡地に建設していて、ダム湖畔を眺めたり、対岸には滝が見えるなど“インスタ映えスポット”もあります。またお茶を使ったスムージーやワッフル、山菜や茶葉の天ぷらなど定食も準備しています。皆様ぜひ仁淀川町にお越しください♪
─ 飲食店を始めるにあたって周りからは「高知市内に作った方がいいんじゃない?」という声もあったそうですが、岸本さんは仁淀川町への出店にこだわりました。店名は、沢渡地区の茶農家たちが地域活性化を探るためにかつて組織した「あすなろの会」に由来しているそうで、先人の思いも継いでいきたいという気持ちが込められています。大好きな仁淀川町に雇用の場を創出し、町外からの誘客も図る岸本さんのビッグチャレンジを応援しましょう!
● 黒岩さん
地元の水産会社から倉庫や取引先を受け継ぎ、2017年7月に「炭玄 鮮魚部」を本格始動させました。毎朝セリに参加してキンメダイなど室戸の新鮮な魚介を調達し、高知市をはじめ、備長炭の取引先である東京や大阪などの飲食店にも売り込んでいます。鮮魚販売への参入には、室戸の魚を売り込むという目的と共に、働きたい若者の受け皿を拡大するという目的もあり、実際に2018年4月には1名の採用が決まっています。《土佐清水の魚》や《須崎の魚》のように《室戸の魚》もブランド化していきたいですし、今後も地域の資源を生かして事業の拡大、雇用の拡大を図り、地元のために出来ることを精一杯していきたいですね。
─ 現在、高知市「路傍酒場 玄〜kuro〜」と、室戸市「吉良川魚処 玄〜kuro〜」の2店舗を経営している黒岩さん。お店には連日多くのお客さんが詰めかけ、室戸の美味しい魚に舌鼓を打ってくれているそうです。今から10年前にたった一人で立ち上げた「炭玄」は多くの仲間を巻き込み、製炭から飲食店経営、さらには鮮魚販売業へと事業を拡大しています。「室戸の資源を生かし、雇用をつくる」という黒岩さんのブレない姿勢に拍手!!
【 地域をさらに盛り上げていくために 】
それぞれの地域で、その土地ならではの事業を起こし、地域の魅力を広く発信している皆さん。今後それぞれの地域をさらに盛り上げるための“決意表明”として、番組の最後に今後の夢や目標について語っていただきました。
● 岸本さん
沢渡茶を知ってもらうためにこれまでいろんなところへ出かけて販売に力を入れてきましたが、仁淀川町に「茶農家の店あすなろ」が出来ることもあり、今年はもう一度原点に返って“お茶づくり”に力を入れたいと思っています。ですので出来るだけ沢渡にいて、お店に来てくれるお客様と交流出来たらなと考えています。これからは沢渡に来てもらうことに力を注ぎたいですね。
● 黒岩さん
実は今やりたいことが4つくらいあります!例えば、室戸までわざわざ来てもらえるような仕組みをつくったり、他には「炭玄 鮮魚部」として高知市内や県外に店舗を持つこともしたいです。これまでは室戸の魚を業務用として発送してきましたが、今後はお客様との会話を通じて室戸のことをもっと知ってもらい、わざわざ室戸まで足を運んでもらえればホントに最高ですね。
● 田中さん
「土佐清水ワールド」のお蔭で土佐清水市を知ってもらう機会が増えました。その中で、土佐清水に来てくれる方に宗田節工場を見学してもらったり、土佐清水の人たちと交流してもらったりするような環境をつくっていければと思っています。あともう一つの目標は、地元産の宗田節を、ジョン万次郎ゆかりの地・米国フェアヘブンで売りたい。これは必ずやりたいと思います!
この番組での共演を通じてすっかり意気投合した3人。今年2月には黒岩さん、岸本さんが土佐清水市を訪ねて、田中さんをはじめとする土佐清水市の方たちと酒を酌み交わすことを約束。3月には岸本さんがオープンする、仁淀川町の「茶農家の店あすなろ」に田中さん、黒岩さんが駆け付ける予定だそうです。
地域のキーパーソンたちが交流することで今後さらに何か新しいことが起きそうな予感♪高知の元気なニューリーダーたちの熱い思いが、それぞれの地域を、高知県を、そして日本を元気にしてくれそうです。『プライム・トーク』も皆さんのご活躍をお祈りしています!!
★ 岸本さん、黒岩さん、田中さんの熱いトークは下記のページでもお聞きいただけます。
地域の魅力再発見スペシャル(2018/01/03)
今回お話しいただいた3人だけでなく、高知県内には自分たちが住む地域を盛り上げ、地域の特産品を多くの人に届けようと奮闘している方がたくさんいらっしゃいます。これからも地方は様々な課題に直面することと思いますが、高知が誇る“人の力”、“人と人とのつながりの強さ”で高知の元気を全国へ発信していきたいですね。
『プライム・トーク〜地域の魅力再発見スペシャル〜』、ではまた次の機会にお会いしましょう!